電動歯ブラシの捨て方。自治体で分別が違う理由と出す前の一手間

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本体が動かなくなった電動歯ブラシを、ふつうの燃えるごみに入れていませんか。実はこれが、いま全国のごみ処理施設でいちばん困っている出し方です。中に入っている充電池が、収集車や処理施設で押しつぶされて発火するためです。この記事では、電動歯ブラシの正しい捨て方を、法律・自治体の公式ページ・電池リサイクルの実施団体の記載から整理します。自治体によって分別が違う理由と、どこの自治体でも共通してやるべき一手間まで書きます。

この記事の要点

  • 分別は自治体で違う。実際に確認した3つの自治体でも「小型家電リサイクル回収」「小型家電」「不燃ごみ(別の袋)」と分かれた
  • 違う理由は、国の政令に「電動歯ブラシ」という言葉がないから。第21号の「理容用電気機械器具」に含まれる形になっている
  • 取扱説明書に外し方が書かれていない充電池は、無理に外さない。本体ごと出すのが正解
  • 外せる電池は絶縁テープで端子を覆ってからJBRCの回収ボックスへ。外せない機器はJBRCの回収対象外
  • 厳しくなった背景は火災。廃棄物処理時のリチウムイオン電池に起因する火災事故等は令和6年度で9,923件

結論:自治体の品目一覧で「電動歯ブラシ」を引く

先に答えを書きます。電動歯ブラシの捨て方に全国共通の正解はありません。お住まいの自治体のごみ分別一覧で「電動歯ブラシ」を調べるのが唯一確実な方法です。

どのくらい違うのか、実際に3つの自治体の公式ページを確認しました。

自治体 電動歯ブラシの区分 公式ページの案内
大阪市 小型家電リサイクル回収 「リサイクル回収にお出しください。リサイクル回収にお出しいただけない場合は、電池を外した上で「普通ごみ」にお出しください。」外せない場合は「リチウムイオン電池等の回収」へ
名古屋市 小型家電 「回収ボックスを利用できない場合、充電式は不燃ごみ、電池式は電池を抜いてから可燃ごみに出してください。」
世田谷区 不燃ごみ 「充電式電池が取り外せない小型家電類」の製品例に電動歯ブラシを挙げ、他の不燃ごみとは別の袋で出すよう案内

3つとも違います。しかも大阪市と名古屋市は「電池が外せるかどうか」で行き先が枝分かれします。同じ製品でも、住んでいる場所と製品の作りの両方で答えが変わるということです。

なぜ自治体で分別が違うのか

理由は法律の書かれ方にあります。電動歯ブラシは「小型家電リサイクル法」(正式名称は使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)の対象ですが、政令の条文に「歯ブラシ」という言葉は一度も出てきません。

政令(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令)の第一条は、対象となる電気機械器具を28の分類で列挙しています。電動歯ブラシが入るのは第二十一号です。

二十一 ヘアドライヤー、電気かみそりその他の理容用電気機械器具(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令 第一条

「その他の理容用電気機械器具」に含まれる、という書き方です。では誰が「電動歯ブラシは含まれる」と言っているのかというと、環境省と経済産業省が出しているガイドラインです。

・理容用機器(ヘアドライヤー、ヘアーアイロン、電気かみそり、電気バリカン、電気かみそり洗浄機、電動歯ブラシ)(環境省・経済産業省「使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン(Ver.1.2)」平成30年6月

このガイドラインは、上に挙げた品目群を「特定対象品目」と呼び、「資源性と分別のしやすさから特にリサイクルするべき品目として国が本ガイドラインにおいて指定するもの」と説明しています。

つまり国は「リサイクルしてほしい品目」として電動歯ブラシを名指ししているものの、どの区分でどう集めるかは市町村に委ねられているという建て付けです。ここが、自治体ごとに答えが変わる理由です。

どの自治体でも共通する一手間:電池を無理に外さない

分別区分は違っても、共通している注意点があります。取扱説明書に外し方が書かれていない充電池は、自分で取り外さないこと。

小型家電から工具や特殊な方法でないと取り外すことができない充電式電池を無理に取り外す行為は、発火や暴発の危険を伴います。処分の際は製品ごとお出しください。(世田谷区

電動歯ブラシは防水のために本体が完全に密閉されている製品が多く、ドライバーでこじ開けないと電池に届かないものが少なくありません。こじ開ける過程で電池に傷が入ると、そこから発熱・発火します。この場合は本体ごと、自治体の指定する区分に出してください。

1
取扱説明書で電池の外し方を確認する

外し方が書かれていなければ、そこで終わりです。本体ごと出します。工具でこじ開けないでください。

2
充電を使い切っておく

残量があるほど、短絡したときのエネルギーが大きくなります。動かなくなるまで使ってから出すのが安全です。

3
端子部分をビニールテープで覆う

充電台に載せる金属の接点や、電池を外した場合はその電極を絶縁します。世田谷区も「電極や接続端子部分、ケーブルの差込口をビニールテープ等で覆う」と案内しています。

4
自治体の指定する区分・出し方に従う

世田谷区のように「他の不燃ごみとは別の袋に入れ、袋に『充電式電池』と書く」といった指定がある自治体もあります。

電池を外せる製品なら、電池はJBRCの回収ボックスへ

取扱説明書に外し方が書かれていて、実際に外せた場合は、電池だけをJBRC(一般社団法人JBRC)の協力店・協力自治体にある回収ボックスへ持ち込めます。回収対象はニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池の3種類で、「使用機器」の例に電動歯ブラシが挙げられています。

ただしJBRCは、リサイクルマークの有無ではなく次の3条件で判断するよう案内しています。

JBRC会員企業製であること(会員企業外品やメーカー不明品は回収対象外)/電池種類(ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池のいずれか)が明確であること/破損、水濡れや膨張等の異常のある電池や、外装なしのラミネートタイプの電池ではないこと(同上)

そして、ここが電動歯ブラシで引っかかりやすい点です。

機器からバッテリーの取り外しが出来ないものは回収対象外になります。現在、機器ごと回収できるものはモバイルバッテリーのみです。(JBRC よくあるご質問

電池が外せない電動歯ブラシは、本体ごとJBRCへ持って行っても回収されません。JBRCは回収対象外のものについて「自治体またはメーカーにご相談ください」と案内しているので、この場合は自治体のルールに戻ることになります。

なお、外して持ち込む場合の注意もJBRCが明記しています。「無理に取り外した電池ではなく、取り外し方法が取扱説明書等に明記されており、それに従い取り外した電池は回収対象となります。」という一文です。こじ開けて外した電池は、そもそも受け付けてもらえないと考えてください。

なぜ最近これほど言われるようになったのか

背景は火災です。数字が出ています。

統計 件数 出典
廃棄物処理時にリチウムイオン電池に起因すると疑われる火災事故等(令和6年度) 9,923件(発煙・発火を含む発生件数は23,068件) 環境省「リチウムイオン電池の適正処理の現状」(データ出典は一般廃棄物処理実態調査)
リチウムイオン電池等から出火した火災(令和4年) 601件 消防庁「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表」令和8年1月29日。いずれも廃棄物を回収中の塵芥車・ごみ処理関連施設の火災を除いた件数
同(令和5年) 739件
同(令和6年) 982件

消防庁の数字は3年で約1.6倍です。しかもこれはごみ収集車と処理施設の火災を除いた件数なので、家庭やオフィスで起きた火災だけでこの数になります。環境省側の9,923件が、まさにごみとして出された電池による火災事故等の件数です。

電動歯ブラシ単体の火災統計は、消防庁にもNITE(製品評価技術基盤機構)にも集計区分がありません。ただし、押しつぶされたときに発火するという仕組みは、電池が入っている以上どの製品でも同じです。

まだ使える本体はどうするか

本体が問題なく動くのに買い替える場合、捨てる以外の道もあります。環境省・経済産業省のガイドラインは、リユースについてこう整理しています。

リユースショップで中古品として販売するために、消費者から引渡しを受ける場合には、リユース品としての査定を行い、買取価格を決定することになりますが、このようなリユースについては、法律の施行前から有価物の取引として広く行われているものであり、本法の各規定の対象外となるため(中略)本法の施行後も従来通り続けていくことができます。(同ガイドライン 2.3)

制度としては妨げられていません。ただし電動歯ブラシは口に入れて使うものです。替えブラシは必ず新品にし、本体はよく洗って乾かしてから渡してください。なお、衛生用品の中古売買について公的機関が注意喚起している文書は、今回の調査では確認できませんでした。

そもそも本体を替えるべきかどうかの判断は、意外と知らない電動歯ブラシの寿命で整理しています。充電が持たなくなっただけなら本体の寿命かもしれませんし、電動歯ブラシの充電が持たない・電池が切れるで挙げた原因のどれかであれば、まだ使える可能性もあります。動かない・すぐ止まるという症状なら、故障を疑う前に確認する5つのことを先に試してみてください。替えブラシだけの交換で済む話と本体の買い替えは別なので、替えブラシの交換時期もあわせて確認すると切り分けが早くなります。

まとめ

要点

電動歯ブラシの分別は自治体ごとに違います。国の政令に「歯ブラシ」の語がなく、「その他の理容用電気機械器具」に含まれる形になっているためです。どの自治体でも共通するのは、取扱説明書に書かれていない限り充電池を自分で外さないことと、端子を絶縁してから出すことの2つ。外せる製品なら電池はJBRCの回収ボックスへ、外せない製品は本体ごと自治体のルールに従ってください。

よくある質問

電動歯ブラシは何ごみですか。

自治体によって違います。実際に3つの自治体の公式ページを確認したところ、大阪市は「小型家電リサイクル回収」、名古屋市は「小型家電」、世田谷区は「不燃ごみ(他の不燃ごみとは別の袋)」と分かれていました。国の政令が定める28分類には「電動歯ブラシ」という言葉がなく、第21号の「ヘアドライヤー、電気かみそりその他の理容用電気機械器具」に含まれる形になっているためです。お住まいの自治体の品目別一覧で「電動歯ブラシ」を調べるのが確実です。

なぜ自治体で分別が違うのですか。

小型家電リサイクル法は、回収する品目や方法を市町村の判断に委ねているためです。国の政令(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令)は対象を28分類で示していますが、条文に「歯ブラシ」の語はありません。環境省と経済産業省の「使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン(Ver.1.2・平成30年6月)」では、特にリサイクルすべき「特定対象品目」の理容用機器に電動歯ブラシが例示されています。つまり国は対象に含めていますが、実際の分別区分は各市町村が決めています。

充電式の電池は自分で取り外したほうがよいですか。

取扱説明書に取り外し方が書かれていない製品は、無理に外さないでください。世田谷区は「小型家電から工具や特殊な方法でないと取り外すことができない充電式電池を無理に取り外す行為は、発火や暴発の危険を伴います。処分の際は製品ごとお出しください。」と明記しています。取り外し方法が取扱説明書等に明記されている場合だけ、それに従って外してください。

外した充電池はどこに持っていけばよいですか。

JBRC(一般社団法人JBRC)の協力店・協力自治体にある回収ボックスが窓口の一つです。回収対象はニカド電池・ニッケル水素電池・リチウムイオン電池で、JBRCは「JBRC会員企業製であること」「電池種類が明確であること」「破損、水濡れや膨張等の異常のある電池や、外装なしのラミネートタイプの電池ではないこと」の3条件をすべて満たすかで判断するよう案内しています。持ち込む前にプラス極・マイナス極と金属端子部を絶縁テープで覆ってください。

電池が本体から外せないタイプはJBRCで回収してもらえますか。

回収されません。JBRCは「機器からバッテリーの取り外しが出来ないものは回収対象外になります。現在、機器ごと回収できるものはモバイルバッテリーのみです。」としています。回収対象外のものは自治体またはメーカーに相談するよう案内されているので、本体ごと自治体のルールに従って出すことになります。

捨て方にうるさくなったのはなぜですか。

ごみに混ざった充電池からの火災が増えているためです。環境省の資料によると、廃棄物処理時にリチウムイオン電池に起因すると疑われる火災事故等は令和6年度で9,923件(発煙・発火を含む発生件数は23,068件)でした。消防庁がまとめたリチウムイオン電池等から出火した火災も、令和4年601件、令和5年739件、令和6年982件と増えています。

まだ動く電動歯ブラシを譲ったり売ったりしてもよいですか。

制度上は妨げられていません。環境省・経済産業省のガイドラインは、リユースショップが査定を行って買い取る場合などは「使用を終了していない」ため小型家電リサイクル法の対象にならないと整理しています。ただし電動歯ブラシは口に入れて使うものなので、譲る場合はブラシ部分を新品に替える、本体をよく洗って乾かすといった衛生面の配慮は別に必要です。なお衛生用品の中古売買について公的機関が注意喚起している文書は確認できませんでした。

【出典】使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令(平成25年政令第45号・e-Gov法令検索)/環境省・経済産業省「使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン(Ver.1.2)」平成30年6月/環境省「リチウムイオン電池の適正処理の現状」(データ出典:一般廃棄物処理実態調査)/消防庁「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表」令和8年1月29日/一般社団法人JBRC「不要電池の出し方」「よくあるご質問」/大阪市「品目別収集区分一覧表」、名古屋市「ごみ・資源分別検索」、世田谷区「充電式電池は不燃ごみの日にお出しください」。いずれも2026年8月10日に確認しました。分別区分は変更されることがあるため、お出しになる前に各自治体の最新の案内をご確認ください。

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