歯垢と歯石の違いとは?歯石になる前に落とすセルフケアのコツ

歯垢と歯石の違い
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毎日歯を磨いているのに、歯科検診で「歯石がついていますね」と言われた経験はありませんか。歯垢(プラーク)と歯石は名前が似ていますが、正体も、落とし方もまったく別のものです。この記事では、歯垢と歯石の違いを対比表で整理し、歯垢が歯石に変わるまでの時間と、「歯石になる前に落とす」ための毎日のセルフケアを、厚生労働省などの公開情報をもとに解説します。

この記事の要点

  • 歯垢(プラーク)は食べかすではなく、歯の表面に付着した細菌のかたまり。1mgの中に10億個以上の細菌が存在するとされる
  • 歯石は、歯垢に唾液中のカルシウムなどが沈着して石のように硬くなったもの。歯垢は1〜3日で歯石になるといわれている
  • 歯垢は歯ブラシと歯間ケアで落とせるが、歯石になると歯磨きでは取れず、歯科医院での除去が必要
  • 分かれ目は「時間」。柔らかい歯垢のうちに毎日落とすことが、虫歯・歯周病予防の基本

歯垢(プラーク)とは:歯の表面につく「細菌のかたまり」

歯垢(プラーク)とは、口の中の常在菌とその産生物からなる、歯の表面に付着した白く柔らかな沈着物のことです。厚生労働省のe-ヘルスネットによると、歯垢は食後数時間で形成され、わずか1mgの中に10億個以上の細菌が存在するとされています(厚生労働省 e-ヘルスネット「プラーク/歯垢」)。「歯垢=食べかすの残り」と思われがちですが、実際には細菌そのもののかたまりであり、この中の細菌が糖を材料に酸や毒素を作ることで、虫歯や歯周病の原因になります。

やっかいなのは、歯垢には粘着力があり、水に溶けないという性質です。そのため、うがいだけでは取り除くことができません。一方で、この段階ではまだ白く柔らかい沈着物なので、歯ブラシの毛先を当てれば物理的にこすり落とすことができます。歯と歯の間など歯ブラシが届きにくい部分は、歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具で取り除くことがすすめられています。

歯石とは:歯垢が唾液の成分で石のように硬くなったもの

歯石とは、唾液に含まれるカルシウムやリン酸の成分が歯垢に沈着(石灰化)し、歯の表面に石のように硬く付着したものです(厚生労働省 e-ヘルスネット「歯石」)。つまり歯石の正体は、磨き残した歯垢が「化石化」したものといえます。日本訪問歯科協会によると、歯垢は1〜3日で歯石になるといわれています日本訪問歯科協会「歯石がつきやすい場所」)。磨き残しを数日放置するだけで、歯ブラシでは落とせない硬い汚れに変わってしまうのです。

歯石には、歯ぐきの縁より上につく目に見えやすいものと、歯周ポケットの中につくものの2種類があるとされています。e-ヘルスネットによれば、歯石そのものが歯周病の直接的な原因になるわけではありません。しかし、歯石の表面はざらついているため歯垢が付着しやすく、歯周病の間接的な原因になるとされています。歯石を足がかりに新しい歯垢がたまり、それがまた歯石になる——という悪循環が、歯ぐきの炎症を進める土台になります。歯周病と歯ぐきのケアについては、歯茎の健康を守る電動歯ブラシの使い方もあわせてご覧ください。

歯垢と歯石の違いを一覧表で整理

ここまでの内容を対比表で整理します。両者を分けるポイントは「硬さ」と「自分で落とせるかどうか」、そしてその分かれ目になる「時間」です。

項目 歯垢(プラーク) 歯石
正体 細菌とその産生物のかたまり(1mgに10億個以上の細菌) 歯垢に唾液中のカルシウムなどが沈着して石灰化したもの
見た目・硬さ 白く柔らかい沈着物 石のように硬い付着物
できるまでの時間 食後数時間で形成される 歯垢が残ったまま1〜3日でなるといわれる
自分で落とせるか 落とせる(歯ブラシ+フロス・歯間ブラシ。うがいだけでは不可) 落とせない(歯科医院で専用の器具を使って除去)
主なリスク 虫歯・歯周病の直接の原因 表面に歯垢がつきやすくなり、歯周病の間接的な原因に

この表からわかる結論はシンプルです。柔らかい歯垢のうちなら、毎日のセルフケアで自分で落とせる。歯石になってからでは、歯科医院でしか取れない。だからこそ、「歯石になる前の1〜3日以内に、その日の歯垢をその日のうちに落とす」ことが、オーラルケアの基本戦略になります。

歯垢が残りやすい・歯石がつきやすい場所を知っておく

効率よく歯垢を落とすには、たまりやすい場所を知っておくことが近道です。日本訪問歯科協会によると、歯石がつきやすい代表的な場所は下の前歯の裏側上の奥歯の表側(頬側)です。どちらも唾液が出る唾液腺の開口部がある場所で、唾液中のカルシウムなどが歯垢に付着しやすく、石灰化が起こりやすいと説明されています。下の前歯の裏側は歯ブラシがうまく届かず磨きにくい場所であり、上の奥歯の表側は磨きやすい場所であるにもかかわらず歯石がつきやすい、という点に注意が必要です。

このほか、一般に磨き残しが起こりやすい場所として、次のような部位が挙げられます。

  • 歯と歯の間:歯ブラシの毛先が届きにくく、フロスや歯間ブラシの出番
  • 歯と歯ぐきの境目:歯周病予防の要。毛先を境目に沿わせて磨く
  • 奥歯のかみ合わせの溝:溝に歯垢が入り込みやすい
  • 歯並びが重なっている部分:ブラシの角度を変えて1本ずつ当てる

毎日同じところが磨けていないケースは少なくありません。磨く順番を決めて、苦手な場所から磨き始めるのも磨き残しを減らすコツです。

歯石になる前に落とす:歯ブラシ+歯間ケアの毎日習慣

歯垢のうちに落とすセルフケアの基本は、「歯ブラシで歯の面を磨く」+「歯間清掃用具で歯と歯の間を磨く」の2本立てです。e-ヘルスネットでも、歯垢の除去は歯ブラシによる機械的な清掃が基本であり、歯間部は歯間ブラシやデンタルフロスで取り除くことがすすめられています。歯ブラシだけでは歯と歯の間の歯垢まで落としきるのは難しいため、1日1回、就寝前だけでも歯間ケアをセットにするのがおすすめです。就寝中は唾液の分泌が減って細菌が増えやすいとされるため、寝る前に歯垢を残さないことが特に重要です。

歯ブラシは、毛先を歯の面や歯と歯ぐきの境目にきちんと当てて、小刻みに動かしながら1本ずつ磨くのが基本です。手磨きで磨き残しが気になる方は、細かい振動で毛先を動かしてくれる電動歯ブラシを活用するのも一案です。使い方のコツは電動歯ブラシの正しい使い方(朝の3分間)で詳しく解説しています。また、セルフケア全体の考え方は予防歯科の基本(セルフケアと定期検診)にまとめています。

歯石がついてしまったら:歯科医院でのクリーニングが必要

すでについてしまった歯石は、歯磨きでは落とせません。e-ヘルスネットでも、歯石は歯科医院にて専用の器具を用いて除去する必要があるとされています。歯科医院では、歯科医師や歯科衛生士がスケーラーという専用の器具で歯石を取り除き、フッ化物入りの研磨剤で歯の表面を磨き上げる「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」と呼ばれる専門的なクリーニングを受けられます。歯ブラシでは対応しにくい歯と歯の間や歯周ポケットまわりまで清掃でき、虫歯や歯周病になりにくい環境を整えられるとされています(厚生労働省 e-ヘルスネット「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」)。

なお、市販の器具などで歯石を自分で取ろうとするのはおすすめできません。硬い歯石を無理にこそげ落とそうとすると、歯の表面や歯ぐきを傷つけるおそれがあります。歯石が気になるとき、また歯ぐきの腫れや出血、口臭などの症状が続くときは、自己判断せずかかりつけの歯科医院に相談してください。定期検診とクリーニングをセットにして「セルフケアで日々の歯垢を落とし、取り切れなかった分はプロにリセットしてもらう」流れを作るのが、長く歯を守る現実的な方法です。

この記事の結論

歯垢は「自分で落とせる細菌のかたまり」、歯石は「歯科医院でしか取れない石」。歯垢は1〜3日で歯石になるといわれるため、毎日の歯磨きと歯間ケアで「その日の歯垢をその日のうちに落とす」ことが最大の予防策です。ついてしまった歯石は、定期的な歯科クリーニングでリセットしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 歯垢と歯石の違いは何ですか?

歯垢(プラーク)は歯の表面に付着した細菌のかたまりで、白く柔らかく、歯ブラシや歯間清掃用具で落とせます。歯石は、歯垢に唾液中のカルシウムなどが沈着して石のように硬くなったもので、歯磨きでは落とせず、歯科医院での除去が必要です。

Q. 歯垢はどのくらいで歯石になりますか?

歯垢は1〜3日で歯石になるといわれています(日本訪問歯科協会)。磨き残した歯垢が石灰化して硬くなる前に、毎日の歯磨きと歯間ケアで落とすことが大切です。

Q. 歯石は自分で取れますか?

一度ついた歯石は石のように硬く歯の表面に付着しているため、歯磨きでは取れません。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、歯科医院にて専用の器具を用いて除去する必要があるとされています。無理に自分で取ろうとすると、歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあります。

Q. 歯石を放置するとどうなりますか?

歯石そのものが歯周病の直接の原因になるわけではありませんが、表面がざらついているため歯垢が付着しやすくなり、歯周病の間接的な原因になるとされています。歯ぐきの腫れや出血が続く場合は、歯科医院に相談してください。

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