入れ歯の人の電動歯ブラシの使い方。義歯は専用ブラシ、残った歯に電動を

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入れ歯を使い始めてから、電動歯ブラシをどう扱えばいいのか分からなくなった。部分入れ歯の金具がかかっている歯に当てても大丈夫なのか、入れ歯そのものを電動で磨いていいのか。説明書に書いてあるのは本体の使い方だけで、入れ歯のことまでは書かれていません。

結論から言うと、入れ歯と、残っている歯・歯ぐきは別々の道具で担当を分けます。この記事では、日本訪問歯科協会が公開している口腔ケアの解説をもとに、入れ歯のある人が毎日どう手を動かせばいいのかを整理します。

この記事の要点

  • 入れ歯は入れ歯専用ブラシで水洗い。電動歯ブラシの担当ではありません
  • 電動歯ブラシの担当は、残っている歯と歯ぐき・舌・上あご。部分入れ歯の金具がかかる歯はとくに汚れがつきやすい場所です
  • 洗浄剤は3日に一度が目安。ブラシだけではカンジダを落としきれない、というのが理由です
  • 熱湯・漂白剤・乾燥はどれも変形や変色のもと。保管は水の中で、水は毎日取り替えます
  • 洗浄剤は発泡(過酸化水素系)・酵素系・次亜塩素酸系の3種類で得意分野が違います
  • 総入れ歯で自分の歯が1本もなくても、口の中のブラッシングは必要です
  • 夜は入れ歯をはずして歯ぐきを休ませる。義歯性口内炎の予防につながります

入れ歯は「入れ歯専用ブラシ」の担当

日本訪問歯科協会の「入れ歯のお手入れ法」は、毎日の手順をこう書いています。

「毎日のお手入れは、入れ歯専用ブラシを使って水で洗い流します。眠るときは、洗った後に水の中に入れて保管します。清潔に保つために、水は毎日取り替えてください。そして、3日に一度は入れ歯専用の洗浄剤の溶液につけてお手入れしましょう。」(日本訪問歯科協会「入れ歯のお手入れ法」)

頻度については「歯みがきのように毎食後に洗うことが理想的ですが、せめて寝る前に1日一度はていねいに洗いましょう」とされています。入れ歯は人工の歯なのでむし歯にはなりませんが、きれいに見えても細菌が付着している、汚れたままにしておけば口臭の元になったり黒ずんできたりする、というのが手入れが要る理由です。

やってはいけないことも明記されています。熱湯や漂白剤につけるのは変色や変形のもとになるので避ける。そして乾燥も変形のもとになるので、必ず水の中に入れて保管する。「消毒したい」という気持ちから熱湯をかけるのは、いちばん避けたい手です。

電動歯ブラシの担当は、残っている歯と歯ぐき

では電動歯ブラシはどこを磨くのか。入れ歯をはずした後の口の中です。

「入れ歯をはずした後は口をよくすすぎ、やわらかい歯ブラシなどで歯肉や舌、上あごをブラッシングすると汚れが取れますし、マッサージ効果もあるので血行もよくなります。」(日本訪問歯科協会「入れ歯をはずした後のお口のケア」)

部分入れ歯の場合、注意する場所ははっきりしています。「入れ歯の金具がかかる歯には特に汚れがつきやすいので念入りに磨いてください」。金具(クラスプ)がかかる歯は、その入れ歯を支えている歯でもあります。ここを失うと入れ歯そのものの設計が変わるので、優先度がいちばん高い場所です。

電動歯ブラシが向いている理由についても、同協会は高齢者向けの解説で「電動歯ブラシはブラシが振動したり回転したりすることで歯を磨く動きを補い、汚れを落としてくれます。そのため、高齢者などの筋力が衰えた人や、手での歯磨きの負担が大きい人におすすめです」と書いています。介助磨きの場合も介助者の負担が少なくなる、細かな動きが歯ぐきのマッサージ効果を高める、とも挙げられています。

当て方は「自分でゴシゴシ動かさずに、歯に当てて電動の動きに任せる」。手磨きの癖のまま動かしてしまう人は、電動歯ブラシの正しい使い方で当て方と時間を確認してください。

歯みがき剤についても指摘があります。「歯磨き粉を使う時には、研磨剤や発泡剤が入っていないものを選びましょう」。理由は、電動歯ブラシで研磨剤や発泡剤の入った歯磨き粉を使うと、歯を痛めたり口の中が泡だらけになったりすることがあるためです。詳しくは電動歯ブラシに歯磨き粉は必要かにまとめています。

洗浄剤は3種類。得意分野が違う

入れ歯洗浄剤は色々な商品が並んでいますが、日本訪問歯科協会は大きく3種類に分けて説明しています。

種類 得意なこと 注意点(原文の記述)
発泡タイプ(過酸化水素系) 食べかすや着色汚れを落とす 微生物を取り除くのはやや苦手。部分入れ歯のクラスプが変色する場合があるので長時間のつけ置きに注意
酵素系 食べかす・プラーク・微生物などを取り除く。脱臭効果もある 着色汚れを落とす効果はあまりない
次亜塩素酸系 殺菌力が強く漂白作用も優れる。ヤニや茶しぶなどの着色汚れに効く 長時間つけておくと変色を起こしたり、レジン(歯肉に触れるピンク色のプラスチック)にダメージを与えたりすることがある

並べると、どれか1つが万能というわけではないことが分かります。同協会も「それぞれの特徴を理解して、上手に使い分けましょう」と結んでいます。また洗浄剤は浸けただけで終わりではなく、「洗浄剤で汚れを浮かし、その後、ブラシでこすって、流水で洗浄剤と汚れを洗い流します」という手順が示されています。

1日の流れに落とすと3ステップ

1
食後に入れ歯をはずして水洗い

入れ歯専用ブラシで水で洗い流します。毎食後が理想で、最低でも寝る前に1日1回。歯みがき剤ではなく水で洗うのが基本の形です。

2
口の中を磨く(ここが電動歯ブラシの出番)

口をよくすすいでから、残っている歯・歯ぐき・舌・上あごを磨きます。部分入れ歯の金具がかかる歯は念入りに。総入れ歯で歯が1本もない人も、歯ぐきのブラッシングは必要です。

3
夜ははずして、水の中で保管

「入れ歯をずっとはめたままにしていると、歯肉に負担がかかって血行が抑制されがちになりますから、寝るときには入れ歯をはずして、歯肉を休めるようにしましょう」。保管は水の中で、水は毎日取り替え、3日に一度は洗浄剤に浸けます。

「義歯性口内炎」という、掃除で防げる炎症がある

入れ歯の清掃を毎日の予定に入れる理由は、見た目や口臭だけではありません。

「義歯の裏側の歯肉と接する部分に歯垢(デンチャープラーク)がつき、そこに『カンジタ』という真菌が増殖して、口内炎を引き起こすこともあります。」(日本訪問歯科協会「義歯性口内炎とその予防法」)

主な症状は腫れや痛み、出血、味覚の変化。傷口にしみたり味覚が変わったりすることもある、とされています。予防として挙げられているのは3つで、①「義歯が合わない」などの不具合をしっかり調節する ②義歯と歯肉の両方をしっかりブラッシングする ③夜間などは義歯をはずして歯肉を休ませる。洗浄剤の頻度についても「ブラッシングだけではカンジタ菌を落としきることはできないので、2〜3日に一度は義歯洗浄剤に浸けるようにします」と書かれています。

口の中の変化に早く気づくという意味では、オーラルフレイルのセルフチェック歯ぐきを守る磨き方も合わせて読んでおくと、「これは受診したほうがいい変化か」の線引きがしやすくなります。

要点

入れ歯のある人のセルフケアは、道具で担当を分けると迷いません。入れ歯は入れ歯専用ブラシで水洗いし、3日に一度は洗浄剤。熱湯・漂白剤・乾燥は避け、保管は毎日取り替える水の中で。電動歯ブラシが受け持つのは、はずした後の口の中=残っている歯・歯ぐき・舌・上あごで、部分入れ歯の金具がかかる歯はとくに念入りに磨きます。歯みがき剤を使うなら研磨剤・発泡剤の入っていないものを選びます。夜ははずして歯ぐきを休ませる。これが義歯性口内炎の予防にもつながります。

よくある質問

入れ歯そのものを電動歯ブラシで磨いてもいいですか。

入れ歯の清掃には入れ歯専用ブラシを使います。日本訪問歯科協会は「毎日のお手入れは、入れ歯専用ブラシを使って水で洗い流します」としています。電動歯ブラシは、部分入れ歯の場合に残っている自分の歯と歯ぐきを磨くために使います。

入れ歯は毎日どのくらい洗えばいいですか。

日本訪問歯科協会は「歯みがきのように毎食後に洗うことが理想的ですが、せめて寝る前に1日一度はていねいに洗いましょう」としています。義歯性口内炎の予防についても「義歯はできれば毎食後、少なくとも1日1回はブラシで洗って食べかすなどを取り除きます」と書かれています。

入れ歯洗浄剤はどのくらいの頻度で使いますか。

日本訪問歯科協会は入れ歯のお手入れについて「3日に一度は入れ歯専用の洗浄剤の溶液につけてお手入れしましょう」、義歯性口内炎の予防については「ブラッシングだけではカンジタ菌を落としきることはできないので、2〜3日に一度は義歯洗浄剤に浸けるようにします」としています。

入れ歯を熱湯で消毒してもいいですか。

避けます。日本訪問歯科協会は「熱湯や漂白剤につけるのは変色や変形のもとになるので避けてください」と明記しています。乾燥も変形のもとになるため、保管は水の中で行い、水は毎日取り替えます。

総入れ歯で自分の歯が1本もなければ、歯みがきは不要ですか。

必要です。日本訪問歯科協会は「総入れ歯で自分の歯が1本もなくてもお口の中のブラッシングは必要です」としています。入れ歯をはずした後に口をよくすすぎ、やわらかい歯ブラシなどで歯肉や舌、上あごをブラッシングすると、汚れが取れてマッサージ効果も得られる、と説明されています。

電動歯ブラシに歯みがき剤は使わないほうがいいですか。

日本訪問歯科協会は高齢者の電動歯ブラシ活用について「歯磨き粉を使う時には、研磨剤や発泡剤が入っていないものを選びましょう」としています。研磨剤や発泡剤が入ったものを電動歯ブラシで使うと、歯を痛めたり口の中が泡だらけになったりすることがある、という理由です。

出典

本記事は上記の公開解説の記述を整理したものです。入れ歯の適合や痛み、口内炎が続く場合の判断は歯科医師によります。出典リンクの表示確認:2026年9月14日。

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