歯ぎしり・食いしばりのサインと対策。セルフチェックで歯を守る

歯ぎしり・食いしばりのサインと対策
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朝起きたときにあごが疲れている、歯がすり減ってきた気がする、詰め物がよく外れる——それは自覚しにくい歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)のサインかもしれません。睡眠中の歯ぎしりは自分では気づけないうえ、音を立てない「かみしめ」タイプは家族にも気づかれにくいとされています。この記事では、歯ぎしり・食いしばりのセルフチェックリスト、歯や歯ぐきへの影響、今日からできる対策を、日本歯科医師会の公開情報をもとに解説します。

この記事の要点

  • 起床時のあごの疲れ・歯のすり減り・詰め物の欠けや外れやすさは、歯ぎしり・食いしばりを疑うサインとされている
  • ブラキシズムは「睡眠時」と「覚醒時」に大別され、睡眠時は無意識に起こる中枢性のもの、覚醒時は身についた習癖と考えられている
  • 強い力が続くと歯・歯周組織・顎関節に負担がかかり、歯のすり減り(咬耗)による象牙質の露出は知覚過敏の原因にもなる
  • 対策の基本は、日中の「歯を離す」意識づけと、就寝時のナイトガード(スプリント)を歯科医院で相談すること

まずセルフチェック:こんなサインはありませんか?

歯ぎしり・食いしばりの厄介なところは、本人に自覚がないまま進行しやすいことです。睡眠中の歯ぎしりは眠っている間の出来事ですし、日中の食いしばりも無意識のうちに行われていることが少なくありません。日本歯科医師会の解説では、睡眠時ブラキシズムの臨床的な診断の指標として、歯ぎしり音やかみしめの自覚に加えて、歯の異常なすり減り、起床時の咀嚼筋(そしゃくきん:かむための筋肉)の不快感や疲労・痛み、かみしめたときの咬筋(こうきん:頬のあたりのかむ筋肉)の肥大などが挙げられています(日本歯科医師会テーマパーク8020「歯ぎしり」)。次の項目に心当たりがないか、チェックしてみてください。

  • 家族やパートナーから、歯ぎしりの音を指摘されたことがある
  • 朝起きたとき、あごが疲れている・だるい・痛い、口が開けにくい感じがある
  • 歯のかみ合わせ面が平らにすり減ってきた、歯の先端が欠けやすい
  • 詰め物・かぶせ物がよく欠けたり外れたりする
  • 強くかみしめると、頬のえらの部分の筋肉が大きく盛り上がる
  • 冷たいものが歯にしみる(知覚過敏)
  • 日中、ふと気づくと上下の歯が触れ合っている

ただし、こうしたセルフチェックには限界もあります。音を立てずに強くかみしめるタイプは検出が難しく、歯のすり減りが必ずしも現在の歯ぎしりを反映するとは限らないと指摘されています。当てはまる項目が複数ある場合は、自己判断で終わらせず、歯科医院で口の中の状態を診てもらうのが確実です。

歯ぎしりの種類:睡眠時と覚醒時、3つの動き

歯ぎしり(ブラキシズム)とは、食事や会話といった本来の機能以外で、上下の歯が接触している状態を指します。動きの様式では、歯をすり合わせるグラインディング(いわゆるギリギリという歯ぎしり)、一定の位置で強くかみしめるクレンチング(食いしばり)、歯をカチカチと鳴らすタッピングに分類されます(日本歯科医師会「歯ぎしり(ブラキシズム)の分類」)。さらに、起こるタイミングによって大きく2つに分けられます。

タイプ いつ起こるか 特徴
睡眠時ブラキシズム 眠っている間 脳(中枢)由来で起こる睡眠関連の現象と考えられ、本人は自覚できない。自己申告ベースの調査では成人の約5〜8%にみられると報告されている
覚醒時ブラキシズム 起きている間 日中の食いしばり(クレンチング)。生活の中で身についた習癖と考えられ、無意識の場合も意識的な場合もある
上下歯列接触癖(TCH) 起きている間 強い力を伴わないが、上下の歯を長時間触れさせ続ける癖。弱い力でも持続すると筋肉や顎関節の負担になるとされる

意外に思われるかもしれませんが、本来、安静にしているとき上下の歯は触れていません。健常な人では上下の歯の間に前歯部で2〜3mmのすき間があり、上下の歯が接触している時間は1日に約20分程度とされています。「歯はいつも触れているもの」と感じている方は、すでに接触癖が身についている可能性があります。また、かつては「かみ合わせの悪さが歯ぎしりの原因」と考えられた時期もありましたが、現在この説は科学的に実証されておらず、睡眠時ブラキシズムはストレス・遺伝・飲酒・喫煙・一部の薬剤など多くの因子が関与する多因子性のものと報告されています。

歯・歯ぐき・知覚過敏への影響

歯ぎしり・食いしばりがその人の生理的な耐性を超えて続くと、顎関節、筋肉、歯、歯周組織といった口まわりのほぼ全体に悪影響が及ぶ可能性があるとされています。特に睡眠時ブラキシズムでは、起きているときに全力でかみしめる以上の筋活動が記録されており、眠っている間に想像以上の力が歯にかかっていることが示唆されています。

歯への影響として分かりやすいのが、歯のすり減り(咬耗)です。歯の表面の硬いエナメル質がすり減ってなくなると、内側の象牙質(ぞうげしつ:刺激を神経に伝えやすい組織)が露出することがあり、これは冷たいものがしみる知覚過敏の原因の一つとされています(日本歯科医師会「知覚過敏」)。また、詰め物・かぶせ物にも強い力がかかるため、修復物が欠けたり外れたりしやすくなると考えられます。歯を支える歯周組織にも負担がかかるほか、顎関節への負荷から顎関節症の原因因子としても捉えられています。「たかが歯ぎしり」と放置せず、歯と歯ぐきを守る行動につなげることが大切です。

対策:日中は「歯を離す」、就寝時は歯科でナイトガードを相談

押さえておきたいのは、現時点で歯ぎしりを確実に止められる単一の治療法はないとされていることです。だからこそ、関連が疑われる要因を減らしながら、歯を力から守る対処を組み合わせるのが現実的なアプローチになります。日中と就寝時に分けて、次の3ステップで取り組んでみてください。

1
日中は「唇は閉じて、歯は離す」を合言葉に

覚醒時の食いしばりや接触癖は習癖のため、まず自分が行っていると気づくことが是正の第一歩とされています。デスクワークや家事、スマホ操作の合間に「歯が触れていないか」を確認し、触れていたら力を抜いて離す。パソコンや冷蔵庫に小さなメモを貼るのも有効です。

2
生活習慣を見直す

睡眠時ブラキシズムにはストレス・飲酒・喫煙・一部の薬剤などの関与が報告されています。関連が疑われる場合は、ストレスマネジメントや飲酒・喫煙習慣の見直しが、口の健康だけでなく全身の健康の面からも勧められています。

3
就寝時はナイトガード(スプリント)を歯科で相談

就寝中の歯ぎしりは意識でコントロールできないため、歯にかぶせるマウスピース型の装置で歯を保護する方法が一般的です。短期的に歯ぎしりを抑える効果や、歯・修復物の保護、顎関節への負荷軽減の可能性が報告されています。お口に合わせた作製・調整が必要なので、歯科医院で相談しましょう。

あごの痛みや口の開けにくさが続く場合、しみる症状が強い場合は、歯ぎしり以外の原因が隠れていることもあります。自己判断せず、早めにかかりつけの歯科医院を受診してください。予防歯科の定期検診を利用すれば、すり減りやかみ合わせの変化を定期的にチェックしてもらえます。

ダメージを受けた歯と歯ぐきを守る、やさしい歯磨き

歯ぎしり・食いしばりで負担を受けた歯と歯ぐきには、毎日の歯磨きでさらに追い打ちをかけないことも大切です。強い力でゴシゴシ磨く不適切な磨き方は歯ぐきの退縮(歯ぐきが下がること)を進めやすいとされ、歯ぐきが下がると根元の象牙質が露出して、知覚過敏がいっそう起きやすくなります。一方で、磨き残しのプラーク(歯垢)は歯の表面を酸で溶かし、知覚過敏を悪化させる方向に働くため、「やさしく、しかし確実に汚れを落とす」ことが求められます。

ポイントは、毛先を歯と歯ぐきの境目に軽く当て、力を入れずに小さく動かすことです。電動歯ブラシを使う場合も、押し付けずに軽く当てて滑らせるだけで十分です。しみる部分があるときこそ磨くのを避けるのではなく、やさしい圧で丁寧にケアを続けましょう。具体的な当て方や動かし方は歯茎の健康を守る電動歯ブラシの使い方で詳しく解説しています。

この記事の結論

朝のあごの疲れ・歯のすり減り・詰め物の外れやすさは、歯ぎしり・食いしばりのサイン。日中は「唇は閉じて、歯は離す」で習癖をリセットし、就寝時はナイトガードを歯科医院で相談。負担を受けた歯と歯ぐきは、やさしい圧の歯磨きで守りましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 自分が歯ぎしりをしているかどうか、どうすれば分かりますか?

家族からの歯ぎしり音の指摘、起床時のあご(咀嚼筋)の疲れや不快感、歯のすり減り、強くかみしめたときの頬の筋肉の盛り上がりなどが手がかりとされています。ただし音を立てない「かみしめ」タイプは気づきにくく、セルフチェックだけでは限界があるため、気になるサインがあれば歯科医院で相談してください。

Q. 歯ぎしり・食いしばりは治せますか?

現時点では、確実に歯ぎしりを抑制できる単一の治療法はないとされています。ストレスや飲酒・喫煙など関連が疑われる要因への対処と、歯を守るためのナイトガード(スプリント)などの対処療法を組み合わせて付き合っていくのが一般的です。

Q. ナイトガード(マウスピース)にはどんな効果がありますか?

スプリント療法は短期的に歯ぎしりを抑制することが報告されているほか、歯や詰め物・かぶせ物を歯ぎしりの強い力から保護し、睡眠中の顎関節への負荷を軽減できる可能性があるとされています。作製や調整は歯科医院で相談してください。

Q. 日中の食いしばりをやめる方法はありますか?

覚醒時の食いしばりは生活の中で身についた習癖と考えられており、まず自分が行っていることに気づくのが第一歩とされています。「唇は閉じて、歯は離す」を合言葉に、デスクワークや家事の合間に確認する、目につく場所にメモを貼るなどの方法が用いられます。

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